1DMW
スポーツは物語だ。だからチームや選手に物語性があればあるほどのめり込みやすい。その点においてこの選手のそれはハッキリとしている。だがその大部分はもう過去の話。今シーズン、彼は相模原に完全移籍してきた。Fマリノスが保有する選手ではなくなった。
シーズン途中、1トップで起用された試合があった。何戦だったかハッキリしないんだけど、いつもよりイキイキしているように見えた。真ん中でプレーする。ラインを気にしないでプレーできる自由。選手として起用の幅が広がったことは間違いない。
その後スタメンを外れる苦しい時期を過ごすのだが、迎えたこの試合。二試合連続のゴール。前の試合のヘディングはどこに当たったか本人もよくわかんないんだって。そのぐらい必死だったんだろうね。
この試合、開始早々に魅せたゴールは美しい。梅井くんのロングフィードを清原くんが頭で落とし、胸トラから左足で素早く振り抜く。イチ、ニー、サンッ、ヨーーーン!!!! って感じ。利き足は右足だったはずでしょ?おーい!そんなの打てんじゃん!
アーティスティックな雰囲気のあるドリブルとパス。走るのが得意って感じじゃないのに、転んで、最後まで走りきる泥臭さと真摯さ。そしてこの日のシュート。実践でもっともっとその感覚に磨きをかけて、いくとこまでいっちゃって、昇格の立役者とかにもなっちゃって、相模原の「イチバンダイジナマサシワダ」になって欲しい。それが彼の新しい物語の1ページ目だ。
photo & text by hori