この表情を見て欲しい。重圧や、責任、戦いから解放され、充足感とか、達成感とかそういったものに満たされている人間の顔。
試合終了後、監督室で三浦監督は何をするわけでもなくイスに座りこの表情をたたえていました。
今シーズン、いや始まるその前からかな、15位で終えたチームを昇格させるという決意。
どこの監督も、選手も『優勝』とか『昇格』という言葉を口にします。自分自身への、周りへの決意表明でもあり、そこを目指さないのに何を目指して戦うのか。そういうニュアンスもあると思います。
ただ三浦監督は違いました。
敗れた試合の後、いらない気を使って「あの内容でこっちが負けるとか、サッカーは難しいですね。」的なことを枕詞にして挨拶する度に「いや、今年は内容じゃなくて、結果だからね。あれじゃダメなんだ。」と。
ジャッジの判定にどうしても納得がいかず、徹底的に詰め寄ってきました。判定で自分たちがやってきたことが覆ってしまうことに全力で抵抗してきました。
選手へも全力で怒りをあらわにしました。福島戦で梅井くんがマークにつけずに失点した時は、本当、梅井くん殺されるな・・・と思いました。
とにかく『昇格』のためにできることは、何の妥協もなく、批判も恐れず、分別とか、物分かりとかそういうものが一切ないところで、練習から試合までを過ごしてきたのです。1つの勝利で『よし!』という表情はみせても、笑顔を見せることはありませんでした。
2020シーズン、どの選手も、スタッフも真剣に取り組み、勝つためにできることをやってきました。その結果の昇格です。
それでもこの三浦文丈という人がこの1年に見せた『本気』というのはそれらとはまた別のもののような感じがします。本当に本気なんです。徹頭徹尾、諦めとか疑いなく、昇格できる、すると信じきってやっている。
普段は穏やかな人。声を荒げることもなく、選手やスタッフに無理をいうでもなく、柔和な感じ。ところがロッカールームで、選手から見えない場所に陣取り、そこでひとり集中を始めると様子が変わる。そして円陣を組む前、選手に話す段になると、戦うモードに切り替わってる。声のトーン、大きさが変わります。
それをこの1年間、ずっとやってきて、そこから解放された人間の顔がこの最初の写真です。監督、本当にお疲れ様でした。